第57回全日本合唱コンクール 中学の部

昨日の高校の部に引き続き、府中の森芸術劇場で行われた、全国大会中学の部に行ってきました。全国大会ともなると、中学生といえどもコンクールではプロ顔負けの演奏をしたりします。声だけ聞けば、中学生なんてわからないでしょう。
会場では、知り合いの某K女子大合唱団の学指揮さんとばったり遭遇。当日券で入れたそうです。もう朝並ばなくても買えるんですねぇ。朝4時から並んだ昔が懐かしい。もっとも、前売がかなり多かったのか、最初から相当数お客さんが入っていたので、その分当日券には余裕ができたのかも。

混声合唱の部
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小金井市立緑中学校
若松正司編曲、熊本県民謡「おてもやん」。このアレンジはなかなか味があって聞いてて楽しい。のぺっとした母音でちょっと印象悪かったかも。
熊本大学教育学部付属中学校
鈴木輝昭『もうひとつのかお』から「4.愛」。難易度高い曲でも、きれいな曲。曲に飲み込まれず、よくこなしている。
大垣市立興文中学校
荻久保和明「ほうけた母の子守歌」他。「ヒューヒュルリー♪」が全然風の雰囲気がなかったんですが、それにもかかわらず高評価。
須賀川市立第一中学校
千原英喜『おらしょ』から「第3楽章」。ソリストが、ソロの声とtutti の声を完璧に使い分けていてお見事。表現にも注意を払っていてGood。
札幌市立手稲東中学校
木下牧子「祝福」他。祝福は名演奏。バランス、流れといいスムーズで聞いてて心地好い。

同声合唱の部
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出雲市立第一中学校
鈴木輝昭『Tir na nOg(常若の国)』から「Ta athu mor in Eirinn」。んー、去年は聞いたときに強烈なインパクトあったのに、今年は何か息がスカスカする感じがするし、いまいちだなぁ、と思ってましたが、文部科学大臣賞。
会津若松市立第二中学校
西村朗『寂光哀歌』から「ほととぎす」。23人なのに、一人一人がしっかり歌っているので、かなりの迫力。恐ろしいくらい高音を張ってくる。
神戸市立長峰中学校
三善晃『オデコのこいつ』から「ゆめ」。今や中学生でもゆめをやるのか・・・。しかもピアノも中学生。ちょっとついて行ってないとこもあったけど、よく弾くなぁ、と感心。実力不足とは思わないけど、曲が曲だけに、さらに上が求められるのかも。「怖いよ♪」があんまり怖そうじゃないし。
大妻中野中学校
Rautavaara『ガルシアロルカの詩による組曲』から「1〜4」。1曲目はコケた。2曲目から持ち直し。最後はやっぱり大人数ならではの迫力あり。
会津坂下町立第一中学校特設合唱部
Orban「悪魔は忍び寄る」他。特設の部活でも金賞とってしまうんだから、福島の底力はすごい。演奏も迫力がありすぎてこわいくらい。
岩槻市立城南中学校
鈴木輝昭『古謡三章』から「II 羽衣」。音楽にあわせて各パート、部分によって音色を使い分けてる。とても中学生とは思えない・・・

一応コンクールなので、金銀銅の各賞がつけられるんですけど、ここまで高度だと、順位とか優劣とかにはあまり意味がないような気がしてきます。逆に言えばどれもなんか似た演奏にも聞こえるし。もうこうなったら主観で好きか嫌いかの範疇なのでは、と思ってしまいます。

あと、木下牧子ものも人気があったのですが (特に混声)、大阪ハインリッヒシュッツが出してるCDの曲が多くて、聞いた感じだいぶ聞きこんで参考にしているような団体が結構ありました。審査員に指揮者の当間さんがいらっしゃったので、ちょっと不利だったのかなー、と思ってみたり。

それにしても、中学生でも恐ろしいほどのポテンシャルを秘めてることを実感しました。ピアノでも平然と難曲を弾いてるし。それを引き出すのはやはり指導者の能力なんでしょうか。でも当の中学生は、他の学校がすごい演奏をしてても寝てる人もいるし、順位の方に関心があったりで、音楽の喜びよりも勝負の勝ち負け、という捉え方をしてる人もいる、というのは、また別の意味で一考の余地があるのかもしれません。

日本人人質事件

最悪の結果になってしまった。しかもメディアは都合のいいように加工して報道し、あるイメージを植えつけようとしている。韓国では「すいませんでした」という部分をカットしているらしいし、日本では彼が制止を振り切って言った無謀さを強調している。「こうなったのは、無謀な行動をした彼自身の責任だ」と言いたいのだろうが、だいたい20代半ばで完璧な判断できるわけもないんだから、そういう弱みに付け込むのも何か寒々しい。責任回避しようとしている政府のプロパガンダであり、報道を真に受けるのも、こういう時期は特に注意しないと。

それにしても腹が立つのは、心無い家族へのバッシング。前のときもそうだったが、今回家族は彼がイラクに行くことさえ知らなかったのに、家族を責めて何になるのだろう。ただでさえ心痛めている家族に、さらに痛手を負わせて何か楽しいのか。それこそイジメだ。家族に文句を言うのなら、イラクを行き場のない状態に追い込んだアメリカや、勝手に外国から入ってきて卑劣なテロを行っている組織に文句言ったらいいのに。どうせそんな勇気もないし気持ちもない、身勝手な卑怯者なのだろう。

家族は本当に辛いだろうと思う。1日も早く心が平安になってほしいと思う。

第57回全日本合唱コンクール 高校の部

今日は、府中の森芸術劇場であった、合唱コンクール全国大会の高校の部に行ってきました。ちなみにここは、「僕の生きる道」でのロケが行われた場所でもあります。審査員も、浅井敬壹、大谷研二、関屋晋、当間修一、千原秀喜の諸先生方と大物が勢ぞろい。鹿児島女子が委嘱していた関係で、信長先生もおみえでした。

合唱の演奏会なんて空席も多いんですが、これは入れない人も出るほど満員。まあ出演者だけでも1000人越えるから当たり前ですが。さすがに東京が会場だけあって、始まりから人が多すぎです (いつもは最初ガラガラ)。
コンクールの功罪の論議もいろいろありますが、それはさておき、個人的な感想をつらつらと書いてみたいと思います。

選曲の傾向
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相変わらずの鈴木輝昭、西村朗に加え、ヨーゼフ・カライのオンパレード。確かに演奏効果が高い作曲家だという感じします。昔は高校の部といえば、邦人曲がけっこう多かったんですが、外国曲も増えてきました。しかも、海外の作曲家に演奏許可もらって演奏したりしてるし。また、日本人の作曲家に独自に委嘱したりして、「そこまでやるか!?」というくらい本格的なんですよね。クラスター和音は当たり前で、バラバラのヴォカリーズも流行り。聞いて楽しい、というより、やっぱ勝負の場、という雰囲気の方が強いかな。

Aグループ
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岐阜県立岐阜高校
カライの「De profundis」。トップバッターで強烈なインパクト。切実感がよく出てる。クラスターから和音にスライドするとかもきちんと決めるとこはさすが。見事文部科学大臣賞受賞。
岐阜県立大垣桜高校
鈴木輝昭『古謡三章』から「殺生石」。他にも2団体この選曲で、Soli 部分があるが、ここのSoli の登場の仕方が最高。2人ずつ前に出て、一人がかがむ。立ち居振る舞いが歌舞伎調で趣があった。パートがばらけると、一気に歌詞がわからなくなるのがちょっと難。
大阪府立淀川工業高校
荻久保和明『しゅうりりえんえん』から「ゆうきすいぎん」。高嶋節に向いた選曲。この曲はメッセージ性があるので泣ける。
北海道中標津高校
松下耕『愛するもののためにうたう歌』から「こころ」「ばら」「手をください」。Aグループ一番の私のお気に入り (個人的に)。全然難曲ではなく、それでもあっさり過ごすことなく、丁寧に歌ってまさに癒し系。こういうのが正統になって欲しいね。

Bグループ
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埼玉県立浦和第一女子高校
西村朗『炎の挽歌』から「III 妻への挽歌」。デュナーミクがあってメリハリがあり、統制がとれたキレイな演奏。
福島県立安積黎明高校
鈴木輝昭『火へのオード』から「火の玉よ あなたの国の」。委嘱曲、ようやく完成した模様。2年がかりだからなぁ。定演では2年連続「できなくてゴメンなさい」だった。時間はなかったんだろうけど、ここは伝統的によく理解して歌ってる感じがして、やっぱ迫力がある。でも気迫あふれる、という感じではなくなった。
山形県立鶴岡南高校
カライ「Stabat Mater」。今年は先生倒れることなく無事演奏 (当たり前か)。今回第二位の大所帯 131名。これだけいれば迫力でるわなぁ。
福島県立橘高校
鈴木輝昭『詩篇』から「颱風」。「ああ〜、颱風♪」このメロディ耳に残る。菅野先生はやっぱかっこいい。
北海道札幌北高校
この高校出身で、去年の上野の森コーラスパーク作曲コンクールで最優秀だった松本望さんの『あなたへ』から「どうしたらいいの」「やわらかいいのち」。初演の松原混声の演奏の真似っぽかった。いまいち流れに乗れてなくて、横の線が揃わなくて残念。
東京都大妻中野高校
三善晃『のら犬ドジ』から「ないてる…」。往年の名曲をよくこなしての演奏。やっぱメッセージ性のある曲は強い。
宮城県第三女子高校
最大の150人。音圧ばりばり。でも、150ならでは、という選曲ではない。逆に、あれだけ大人数でよくまとめました、という感じ。
鹿児島女子高校
信長貴富「大地の歌」。委嘱曲。木島始訳詩で、新見徳英テイストの入ったVoiceみたいな作品。なかなかキレイで訴える曲。でも途中に英語の歌詞の部分があって、そこで英語の下手さが出る。全部訳詩の日本語にすればよかったのになぁ。

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審査待ちの時間の恒例、各校対抗(?) 歌合戦では、「宇宙戦艦ヤマト」がやけにウケてました。も一つノリノリだった曲があったんですが、拍手でよくきこえなかったです。

審査結果では、どちらかといえば、楽譜に忠実で基礎をしっかりしている団体が高評価でした。この辺が個人的な好みと審査の違うところ。

出演の皆さんお疲れさまでした。明日は中学校の部です。

久々に

まとめてブログを更新した。だいぶ元に戻ってきたかな<気分。さすがにテンプレートも時代錯誤っぽかったので、秋らしいのに変えてみました。
ブログはテンプレートとかあると便利だけど、容量制限とかあるみたいだし、Jugem はUTF-8じゃないんだよね。その点 exblog には魅力あり。そのうち引っ越そうかな、とか漠然と思ってます。

ミャンマー料理

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高田馬場にあるミャンマー料理店に行ってきました。狙っていったわけではなく、なりゆきで。初めて行った感想は? といえば、
「インドとタイの真ん中だ」


「なんじゃそりゃ?」というツッコミも当然ですが、この形容がいちばんぴったりだ。どっちも似てるんだもん。我ながら観察眼が浅いなぁ・・・
料理はかなり辛目です。苦手な方はご注意を。でもけっこう日本人にも食べやすいようにアレンジしているのか、食べやすいし、のどかな雰囲気でなごめます。

西南女学院高校と完戸先生

NHK学校音楽コンクールがあって、NHK教育で放送してた。TV越しじゃどこが上手かなんてあんまりわかんないよなー。ちょっと注目したのは札幌北高校。この高校の卒業生で、上野の森コーラスパークの作曲コンクールで最優秀だった松本望さんの曲をやってました。男声の声が深い響きで、いつぞやの崇徳のような厚みがあった。でも曲は、上野の森で披露された曲の方が感じよかったんだけど、コンクール向きじゃない、ってことかな。ともかく、銀賞おめでとう。府中での演奏も楽しみ。


で、九州代表で西南女学院高校が出てました。昔からなじみのある学校で、ここの先生が先輩、ということもあり、私が高校のとき、この先生が指揮している一般の合唱団に在籍したこともあって、OGも知ってる人がいたりで、いろんなところで演奏を聴く機会が多かった学校です。最近は九州でも常連校になりつつあり、全国大会にもよく顔を出しているようです。ここ15年くらい、ミュージカルにも力を入れているらしく、松下耕の「ふくろうめがね」を委嘱したのもここらしい。


いつか学校内向けの音楽会に招待されて行ったんですが (それもホール借り切ってやるすごさ)、演出ステージでのはじけっぷりというか、客席も巻き込んで楽しませるあのエンターテイメント力には脱帽でした。関東のしょぼい大学合唱界にはない力です。それでいて、落葉松(小林秀雄:作曲)なんかを歌わせると、叙情感たっぷりでガンガン訴えてくるし、ソロのオブリガードも超絶品で、思わず身震いするくらいでした。あれ以上の落葉松は、いまだ聞いたことがありません。


完戸先生もさすがに歳を重ねて、白髪交じりで熟年の貫禄も出てきたんですが、指揮するときの真剣な目つきとあの棒さばきは変わりません。北村協一さんの弟子なので、振り方も似てます。


でもいかんせん、ミュージカル路線やってると声もミュージカル向きみたいで、表現力はあるんだけど、ちょっと合唱向きの声ではなくなってるような気がします。何度か全国大会で聞く機会があったんだけど、なんか声が平べったくて幼く聞こえるんですよねー。そういう志向なのかもしれないけど。

元気になれるきっかけ

帰国してから2週間は、風はひくは、落ち込みはするわで悪夢のような期間だった。そんな中、1通のメールをいただいた。もう何年も会ってないけれど、以前横浜にいるときにいろいろとお世話になった、私からすれば兄のような存在の人。


私がショックで落ち込んでいることを聞いて、心底心配してくれている文面を読むと、無性にありがたく感じて、なんだか泣けてきた。人が辛い思いをしてても「あっ、そう」と気に留めない人もいる反面、感情移入してくれる仲間がいる。そう思うと元気になれる気がした。


彼ら自身、決して治安がいいとはいえない国に住んではや5年。その大変さを日本の人に伝えても、なかなか理解してもらえず、勝手に解釈されたりして、それが悲しいと言っていた。その心境、なんかすごくよくわかる。どんなに、「大変だったんだよぅ」と伝えても、やっぱり他人事なんだよね。人の気持ちを真剣に受け止めることができる人になりたい、とホント思う。